サイトを訪れたユーザーにより訴えかけることのできるコンテンツとはどのようなものなのか。Webに適した文章の書き方をはじめ、Webコンテンツの企画、編集まで、幅広くご紹介します。
2006年11月30日
ビジネス用文章に「起承転結」は向かない?
日常的にライティングをしている人の多くは、「起承転結」という展開方法が頭の中に叩き込まれています。かくいう筆者も駆け出しのライターだった頃、「起承転結」について嫌というほど上司からノウハウを聞かされました。(「起承転結」にのっとった文章が展開できずに何度も注意された経験があります…)
【起承転結のイメージ】
起 = 出来事のきっかけ。今から書くことの前ふり。
承 = 実際に起きたことの具体的説明。エピソード。
転 = これまでの流れを変える部分。驚きなど。
結 = 結局どうなるのか。文章のまとめ。物語のエンディング。
この「起承転結」は、文章を展開する上で最もオーソドックスとされている手法で、名作といわれる文学作品においては、ほとんどがこの展開方法に基づいて展開しています。また、読み物だけではなく、TVドラマや漫画(特に4コマ漫画)をはじめ、さまざまな制作物にも活用されており、ユーザーにも親しまれている手法といえます。
しかし、この「起承転結」。ビジネスの場面で使用する文章展開としては不向きであることが多いようです。というのも、概要だけを知りたいときでも全文を読まなければならないし、読んだ後でなければ必要な情報かそうでないかが判断できないからです。
何事にもスピードが問われるビジネスの世界では、起承転結のゆったりとした展開よりも、「見出し&概要」を主体とする瞬発力の高い文章が好まれる場面のほうが多いのも事実。ちょっとしたコラムを書くときは「起承転結」、企画書や提案書ならば「見出し&概要」といったように、目的によって使い分ける必要がありそうです。
巷に発表されているライティング教則本やWebサイトのなかには、とにかく『どんな場面でも「起承転結」を心がけましょう』と訴えているものがありますが、そのあたりは参考程度にとどめておくほうが無難かもしれません。(上原)