サイトを訪れたユーザーにより訴えかけることのできるコンテンツとはどのようなものなのか。Webに適した文章の書き方をはじめ、Webコンテンツの企画、編集まで、幅広くご紹介します。
2006年10月26日
「拾い読み」しやすいフックの演出
長い文章を、もっと読みやすくするテクニック
みなさんは、Web上で長い文章を読むとき、自然と「拾い読み」をしていませんか?
「拾い読み」とは、全文を読まず文中の単語や文節を拾いながら、ある程度の当たりをつけて読み進めることです。溢れる情報の中から、本当に必要な情報を見つける手段として、多くの方がやっていることではないでしょうか?
このように、どんなにいい文章でも多くの読み手は「拾い読み」をしているため、ときには正確な情報が伝わらなかったり、誤解を招いたりすることもあります。そうならないためにも、文章を短くし、できるだけ簡潔にまとめることがWebライティングには求められます。
しかし、「どうしても長文で伝えたい!」という場合もあるでしょう。そんなとき、上手に使いたいのが「小見出し」です。
最後まで読ませる「小見出し」のポイントとは?
「小見出し」とは、文字通り大きな見出しの下に補足的につける、小さな字の見出しのこと。文章全体の構成をスッキリさせて分かりやすくし、「拾い読み」による誤解を減らすことができます。
また、文中にタイミングよく挿入することで読むテンポを増し、長い文章でも最後まで読ませることが可能なのです。そのタイミングとは、3~4つの段落で1回の頻度が目安。大方の文章は、3要素(=序論・本論・結論)、もしくは4要素(=起承転結)で構成されています。その一区切りついたところで小見出しを入れると、読み手のテンポを落とさず最後まで興味を惹きつけたまま読ませることができるのです。
「拾い読み」されても読み手に伝わる一つの方法として、「小見出し」を文中にうまく挟んでみてはいかがでしょうか。
ちなみに、Webサイトを閲覧するソフトを「ブラウザ(browser)」と呼びますが、もともとは「拾い読みする人」、「(品物を)ぶらぶら見て歩く人」という意味を持っています。(大五)
2006年10月19日
漢字の量を考えよう
日本語で文章を書く場合、一文あたりの漢字の量も、読みやすさのポイントとなります。パソコンを使って文章を書くと、日本語変換ソフトのおかげで、知らない漢字もどんどん使えてしまうため、ついつい難しい漢字や、普段書かないような漢字を使ってしまいがちです。
しかし、漢字が多い文章に、みなさんはどんな印象を持たれるでしょうか?文章の内容以前に、堅苦しさや圧迫感で読む気が起きないのではないでしょうか?たとえば下記の例文をご覧ください。
日本語文章の可読性、更に漢字量を調査する為、明日迄時間を下さい。
日本語文章の可読性、さらに漢字の量を調べるため、明日まで時間をください。
いかがでしょうか。漢字を仮名にしたり、言い回しをちょっと変更するだけで、読みやすさが変わってきます。ただし、仮名ばかりの文章は、今度は幼稚さを感じさせてしまうので、やりすぎは禁物です。
漢字と仮名のバランスを考えながら、文章を見直してみませんか?(渡辺)
2006年10月12日
「おいしい話」を引き出す技術
ライターにとって、取材技術はとても重要なスキルのひとつです。インタビューイーからよりおいしい情報を引き出せれば、それだけ価値の高い原稿を仕上げることができます。取材技術とは、欲しい情報を引き出すテクニックであり、また聞く(話させる)テクニックでもあります。これらのテクニックは、ライターの仕事現場だけでなく、生活の多彩なシーンで活かされることになるでしょう。
さて、有用な情報を上手に引き出すために、ライターが特に心がけているポイントが3つあります。
1)リサーチング
前提として、知らない領域のことを、知らないままでインタビューを行うことはできません。同じく、聞きたい領域についての知識が不足したままでは、より精度の高い情報を得ることはできないでしょう。入念なリサーチが、有意義なインタビューのカギを握ります。
2)仮説の設定
インタビュー前に、そもそもの趣旨やテーマを明確にしておきましょう、ということです。クエスチョンばかり投げかけたあげく、相手に「キミは、結局何が聞きたいの?」と心配されてしまう方は、特に注意してみましょう。
3)質問の構成
上手に話を引き出すためには、適切な順序に従って質問を投げかけなければなりません。順番に投げかける1~5の質問が、そのままインタビューイーの考えるプロセスに合致したような構成をあらかじめ考えておきたいものです。
おいしい質問とは?
最後に、よい情報を引き出すための適切な質問とは何か、ということについて考えてみましょう。よい質問をするためには、5W1Hの疑問詞を有効に使ってみることがポイントです。疑問詞を使うと、相手が「はい/いいえ」だけでは答えられない、つまり考えないと答えられない質問になります。そうすると相手はより多くを語ってくれますし、よりユニーク(独特)な情報が出てきやすくなるでしょう。
ビジネスシーンに、井戸端会議に、家族のコミュニケーションに。ライターの取材技術を、ちょっぴり役立ててみてください。(土居)
2006年10月 2日
読み手のメンタルモデルに配慮する
人間は情報がインプットされると、自分なりにその情報を消化して、独自の世界を頭の中に描き出します。そしてその後の情報は、描いた世界に従って処理し、次の展開を予想しようとするそうです。このことを心理学では、メンタルモデルという概念で表わします。
このあと、さらにインプットされた情報が描いたメンタルモデル通りだった場合、この情報は「理解しやすい」ものだった、ということになります。
逆に、インプットされた情報が描いたメンタルモデルに反する内容だった場合、頭の中でメンタルモデルを修復しようと、頭の中でちょっとした混乱が発生します。そうなると、この情報は「理解しにくい」となるわけです。
ライティングにおいては、こうした読み手の心理状態に反するような文章展開をしないように、気をつけなければなりません。
たとえば「この製品の特長はAとBとCです」という文章があったとします。この文章を読んだ人は、A、B、Cという順番で特長が説明されるだろう、という予測を自分の頭の中で立ててから、文章を読み進めるはずです。
しかし、このメンタルモデルに反して、文章の展開がB、C、Aと進んだり、A、Bの説明のあと、Cが省略されていたりすると、読み手はパニックを起こします。Webの場合、すぐに他のページへ移動してしまうことも考えられますので、ライティングの際には、読み手のメンタルモデルにも気を遣うことが必要です。
ちなみに、文字数やレイアウトへの配慮、実際にHTMLで確認したときのニュアンスなどから、文章を完成させたあとに、段落をそっくり入れ替えたり、丸ごと削除しなければならないことがあります。そうしたときに、このような展開のズレが発生しがちですので注意しましょう。(上原)